履歴書や職務経歴書、個人情報はどう守られる?応募時の疑問を解決
はじめに
新しい仕事を探す際、履歴書や職務経歴書を作成して企業に提出することは一般的です。これらの書類には、氏名、住所、電話番号、学歴、職歴、自己PRなど、多くの個人情報が含まれています。これらの大切な情報が、応募先の企業でどのように扱われるのか、適切に管理されるのか、不安に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
このコラムでは、履歴書や職務経歴書に含まれる個人情報が、企業においてどのように取り扱われるべきか、そして応募する側としてどのような点に注意すれば良いのかについて、分かりやすく解説します。安心して求人応募活動を行うための一助となれば幸いです。
履歴書・職務経歴書に含まれる個人情報とは
履歴書や職務経歴書は、あなたの経歴やスキルを応募先に伝えるための重要な書類です。ここには、個人を特定できる情報が数多く含まれています。
- 氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス:あなたに連絡を取るための基本的な情報です。
- 学歴、職歴:あなたの経てきた教育機関や勤務先、担当した業務内容などが含まれます。
- 資格、スキル:保有する資格や語学力、特定の技能などが記載されます。
- 家族構成、扶養家族の有無:プライベートに関する情報が含まれる場合もあります。
- 趣味、特技:あなたの人間性を伝えるための情報です。
- 通勤時間、扶養家族数、配偶者の有無:これもプライベートな情報の一部です。
これらの情報は、採用選考という限られた目的のために企業に提供されるものです。
企業はどのように個人情報を扱うのか
企業は、受け取った応募書類に含まれる個人情報を、主に以下の目的で利用します。
- 採用選考:応募者の能力や適性を判断するため。
- 応募者への連絡:面接日程の調整や選考結果の通知などを行うため。
多くの企業では、応募書類の受け取りから選考、採用、不採用の決定に至る一連のプロセスで個人情報を取り扱います。重要なのは、これらの情報が当初の目的(採用選考とそれに伴う連絡)以外に利用されないことです。
企業に求められる個人情報保護の取り組み
日本の個人情報保護法では、個人情報を取り扱うすべての事業者に様々な義務を課しています。企業が応募者の個人情報を取り扱う際にも、これらの義務が適用されます。
例えば、企業は応募者から個人情報を取得する際に、その利用目的を明確にする必要があります。また、取得した個人情報は、利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱ってはなりません。さらに、個人情報が漏洩したり、紛失したりしないように、適切かつ安全に管理するための措置を講じる必要があります。
応募書類の保管方法(鍵のかかる場所での保管、電子データの場合はアクセス制限など)や、不要になった書類の適切な破棄(シュレッダー処理、溶解、データ消去など)も、企業の個人情報保護の取り組みとして重要です。
応募者が知っておくべきこと、できること
応募する側として、ご自身の個人情報を守るためにいくつか確認できること、できることがあります。
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企業のプライバシーポリシーを確認する 企業のウェブサイトなどに、個人情報の取り扱いに関する方針(プライバシーポリシー)が掲載されているか確認してみましょう。応募書類から得られた個人情報をどのように取り扱うか、保管期間、破棄方法などが記載されている場合があります。記載が見当たらない場合でも、問い合わせ窓口があれば質問してみることも可能です。
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利用目的外の情報の提供に注意する 応募職種と関連性の低い個人情報の提供を求められた場合は、その必要性を確認しても良いでしょう。例えば、特定の思想や信条、健康状態など、選考に直接関係しない情報の提出は、原則として避けるべきとされています。
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提供した情報の保管期間と破棄について確認する 不採用になった場合、提出した応募書類がどのように扱われるのか(返却されるのか、企業で破棄されるのか、どのくらいの期間保管されるのか)を確認しておくと安心です。多くの企業では、一定期間保管後に適切に破棄するとしています。
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適切な提出方法を選ぶ 応募書類を郵送する場合、簡易書留など追跡可能な方法を選ぶことで、書類が確実に企業に届いたかを確認できます。オンラインで提出する場合は、企業の指定する安全な方法(暗号化されたフォームやアップロードシステムなど)を利用することが大切です。
安全に個人情報を扱うための注意点(応募者側)
- 提出する書類のコピーを取っておく:万が一の問い合わせや確認のために、提出する書類のコピーを保管しておくと良いでしょう。
- 不要になった応募書類は適切に破棄する:複数の企業に応募し、不採用になった企業の応募書類が返却された場合、氏名や住所などの個人情報が記載されているため、そのままゴミ箱に捨てず、シュレッダーにかけるなどして、個人を特定できないようにしてから破棄してください。
- メールで送信する際は暗号化を検討する:企業からメールでの提出を求められた場合、可能であればパスワード付きZIPファイルにするなど、簡単な暗号化を施すとより安全です。ただし、パスワードを別途企業に伝える手間が生じるため、企業の指示に従うのが基本です。
まとめ
履歴書や職務経歴書は、あなたの個人情報の集まりです。求人に応募する際は、ご自身の個人情報がどのように扱われるのかに関心を持つことが大切です。多くの企業は、個人情報保護法に基づき、応募者の個人情報を適切に管理する努力をしていますが、応募する側としても、企業の姿勢を確認したり、不要になった書類を適切に破棄したりするなど、ご自身でできる対策を講じることで、より安心して応募活動を進めることができるでしょう。ご自身の個人情報を守りながら、新しい一歩を踏み出してください。