子どもや孫の写真をネットに載せる前に考えること:知っておきたいプライバシーの話
はじめに
可愛い子どもや孫の写真を、遠く離れた家族や友人にも見せてあげたい、SNSで共有したい、と感じる方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。インターネットを通じて写真を共有することは、手軽で便利な方法の一つです。
しかし、インターネット上に一度公開された写真は、意図しない形で広まったり、悪用されたりする可能性もゼロではありません。特に、まだ幼い子どもの写真については、大人の写真とは異なるプライバシーへの配慮が必要です。
この記事では、子どもや孫の写真をインターネットに公開する際に、どのような点に注意すれば良いか、プライバシーを守るために知っておきたい基本的な考え方や対策について分かりやすく解説します。
なぜ子どもの写真公開に注意が必要なのでしょうか
大人の写真と同様に、子どもの写真にもプライバシーや肖像権という考え方が関係してきます。さらに、子ども自身は、自分の写真がどのように使われるかを判断したり、自分で削除したりすることが難しいため、周りの大人が慎重に扱う必要があります。
インターネットに公開された子どもの写真が、以下のような予期しない事態につながる可能性も考慮する必要があります。
- 個人特定の可能性: 背景に写り込んだ景色や持ち物(制服、名札、習い事のバッグなど)から、子どもの通っている学校や幼稚園、よく行く場所、さらには住んでいる地域が特定されてしまうことがあります。
- 顔認識技術による悪用: 公開された写真が、顔認識技術によって収集され、同意なくデータベースに登録されたり、別の情報と結びつけられたりするリスクが指摘されています。
- なりすましや誘拐のリスク: 写真が悪意のある第三者によってダウンロードされ、子どもの年齢や名前などの情報と組み合わせて、なりすましに使われたり、犯罪に利用されたりする可能性も考えられます。
- 将来的な子ども本人の気持ち: 今は良くても、子どもが成長した時に、幼い頃の写真がインターネット上に残っていることを望まない可能性もあります。一度インターネットに公開された情報を完全に消し去ることは非常に難しいのが現状です。
このようなリスクを理解した上で、写真の公開について検討することが大切です。
安全に写真を共有するための具体的な対策
それでは、子どもや孫の写真を安全に共有するためには、どのような点に気を付ければ良いのでしょうか。いくつか具体的な対策をご紹介します。
1. 公開範囲を慎重に検討する
写真を共有するプラットフォーム(SNS、写真共有サービスなど)には、公開範囲を設定できる機能があります。
- 全体公開: インターネット上の誰もが見られる状態です。最もリスクが高い公開方法と言えます。
- 友人限定・知人限定: 事前に承認した人だけが見られる状態です。全体公開よりも安全ですが、共有範囲に含まれる人が信頼できるかどうかを検討する必要があります。
- グループ限定: 特定の家族グループや親しい友人だけのグループを作成し、その中で共有する方法です。最も安全な方法の一つです。
家族やごく親しい間柄だけで写真を共有したい場合は、SNSの限定公開機能を使うか、特定のメンバーだけがアクセスできるオンラインストレージサービスや、家族向けの共有アプリなどを活用することも検討できます。
2. 写真の内容に注意する
写真そのものに写り込んでいる情報にも気を配りましょう。
- 顔がはっきり写り込んだ写真: 個人特定につながりやすいため、公開範囲を特に限定するか、公開自体を控えることも検討しましょう。後ろ姿や遠景の写真にするなどの工夫も有効です。
- 個人情報が写り込んでいる写真: 名札、表札、学校名や園名が入った制服や持ち物、自宅の外観や内観で個人が特定できそうなもの、郵便物など、個人情報につながるものが写り込んでいないか確認しましょう。
- 位置情報: スマートフォンで撮影した写真には、初期設定で撮影場所の位置情報(GPS情報)が記録されている場合があります。この情報を含んだままインターネットに公開すると、写真を見た人に撮影場所が知られてしまう可能性があります。スマートフォンの設定で、カメラアプリからの位置情報取得をオフにしておくことをお勧めします。
3. 子どもや保護者の同意を得る
可能であれば、写真に写っている子ども自身の気持ちも尊重しましょう。ある程度の年齢であれば、写真をインターネットに載せることについて話し合ってみることも大切です。
そして最も重要なのは、子どもの保護者(両親など)の許可を必ず得ることです。祖父母の方が孫の写真を公開する場合でも、必ず事前に実の親御さんの同意を得てください。親御さんによっては、子どもの写真を一切インターネットに公開したくないと考えている場合もあります。トラブルを避けるためにも、事前の確認と同意は不可欠です。
4. 利用するサービスのプライバシー設定を確認する
利用するSNSや写真共有サービスが、公開された写真をどのように扱うのか(例:サービス側が利用規約に基づいて使用する可能性があるかなど)についても、利用規約やプライバシーポリシーで確認しておくと良いでしょう。難しい場合は、信頼できる、プライバシー保護に配慮したサービスを選ぶようにします。
まとめ
大切な子どもや孫の写真を共有したいという気持ちは自然なものです。しかし、インターネットは多くの人がアクセスできる場所であり、公開した情報がどのように広がるか、誰が見るかを完全にコントロールすることは難しいという現実があります。
便利に楽しく写真を共有するために、公開する範囲を限定する、写真に写り込んでいる情報に注意する、そして最も重要なこととして、子どもの保護者の許可を必ず得るといった基本的な対策を講じましょう。
これらの点に気を配ることで、大切な子どものプライバシーを守りながら、安全に写真共有を楽しむことができるでしょう。