高齢の親のオンライン手続き、個人情報の代理入力は安全ですか
はじめに
ご家族が高齢になるにつれて、様々な手続きやサービスの利用にサポートが必要となる場面が増えてくるかもしれません。特に、行政手続きや買い物など、オンラインで完結できるものが増えており、ご家族の方が代わりに操作を手伝ったり、情報を入力したりすることも少なくないでしょう。
このような時、「親の個人情報を代わりに扱っても大丈夫だろうか」「何か問題はないだろうか」と不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。ここでは、高齢の親御さんの個人情報を代理で扱う際に知っておきたい点と、安全に手続きを進めるための注意点についてご説明します。
代理で個人情報を扱うとは、どのような情報に関わるのか
ご家族の代わりにオンライン手続きなどを行う際に触れる可能性のある個人情報には、様々な種類があります。具体的には、以下のようなものが含まれます。
- 氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレスなどの基本的な情報
- 銀行口座情報やクレジットカード情報などの決済関連情報
- サービスのログインに使用するIDやパスワード
- 病歴や健康状態などの機微(特に注意が必要な)情報(医療サービスの予約など)
- 行政サービス利用に関わるマイナンバーや公的証明書の情報
これらの情報は、親御さんご本人の大切な情報であり、その取り扱いには慎重さが求められます。
なぜ代理での個人情報扱いに注意が必要なのですか
ご家族であっても、他の方の個人情報を扱うことにはいくつかの注意点があります。
- 情報漏洩のリスク: うっかりした入力ミスや、ログイン情報の不適切な管理(例えば、IDやパスワードを誰でも見られる場所にメモしておくなど)により、情報が外部に漏れてしまう可能性が考えられます。
- サービスの利用規約: 多くのオンラインサービスでは、利用規約によって「利用者は本人のみとする」といった規定が設けられています。ご家族であっても、本人以外がアカウントを使用することが、規約違反となる場合があります。これにより、サービスが利用できなくなったり、問題が生じたりする可能性もゼロではありません。
- 家族間の認識の違い: 手続きの内容や共有する情報について、親御さんとご家族の間で認識にずれがあると、後々トラブルの原因となることも考えられます。
- 詐欺や悪用: 代理で操作しているご家族自身が、フィッシング詐欺のような悪意のある手口に騙され、親御さんの個人情報を抜き取られてしまうリスクも存在します。
このような点を踏まえると、ご家族の個人情報を代理で扱う際には、いくつかの配慮が大切になります。
安全に代理で行うための具体的な対策
親御さんのオンライン手続きなどをサポートする際に、個人情報を安全に扱うための具体的な対策をいくつかご紹介します。
- 必ず親御さん本人の同意を得る: これが最も重要です。なぜ、どのような手続きを代わりに行うのか、そのためにどんな情報が必要になるのかを、親御さんに丁寧に説明し、ご本人の明確な同意を得てから進めるようにしてください。「代わりにやっておいたよ」と事後に報告するのではなく、事前に確認することが大切です。
- 必要最小限の情報のみを取り扱う: 手続きに必要な情報だけを確認し、それ以外の個人的な情報(例えば、関係のない写真ファイルやメールの内容など)には不要に触れないようにします。
- IDやパスワードの管理に注意する: もし親御さんのサービスのIDやパスワードを一時的に知る必要がある場合は、その管理に細心の注意を払ってください。安易にメモ用紙に書いて放置したりせず、用事が済んだら安全な方法で親御さんにお返しするか、適切に破棄することが望ましいです。可能であれば、パスワード管理ツールなどの安全な方法を検討するのも良いでしょう。
- 利用するサービスが信頼できるか確認する: 手続きを行うウェブサイトやサービスが、公式で信頼できるものか、プライバシーポリシー(個人情報の取り扱いについて書かれたもの)が明記されているかなどを簡単にでも確認すると安心です。
- 可能であれば一緒に操作する: 親御さんの状況が許せば、画面を一緒に見ながら操作するなど、共同で手続きを進めることが理想的です。これにより、親御さんも安心できますし、手続きの内容を一緒に確認できます。
- 行った操作を記録・共有する: どのような手続きを、いつ、どのように行ったかを簡単に記録しておき、親御さんに報告すると、後で確認が必要になった際に役立ちます。
- 詐欺や不審な連絡に注意を払う: 代理で操作している最中に、不審なメールやメッセージが表示されたり、個人情報の入力を促されたりすることがあります。これはフィッシング詐欺などの可能性が高いので、慌てて情報を入力せず、一度立ち止まって確認することが大切です。
まとめ
高齢の親御さんのオンライン手続きなどをサポートすることは、親孝行であり、非常に助けになる行動です。しかし、その際に親御さんの大切な個人情報を扱うことになりますので、いくつかの点に注意が必要です。
最も大切なのは、親御さんとのコミュニケーションです。何をするのか、どんな情報が必要なのかを丁寧に説明し、必ず同意を得てから進めること。そして、知ることになった個人情報やID・パスワードの管理には十分気を配ることが、親御さんのプライバシーを守り、安心してデジタルサービスを利用してもらうために非常に重要になります。
ご家族のサポートは温かいものですが、個人情報の取り扱いにおいては、冷静さと正確さが求められます。これらの点に注意しながら、安全にサポートを進めていきましょう。