マイナンバーカードの利用で個人情報が漏れる心配は?安全に使うための注意点
マイナンバーカードの利用と個人情報保護:知っておきたいこと
近年、マイナンバーカードの普及が進み、行政手続きやオンラインサービスでの利用機会が増えています。便利になる一方で、「マイナンバーカードを使うことで、自分の個人情報が広く知られてしまったり、漏れてしまったりするのではないか」という不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この不安に対し、マイナンバーカードがどのような仕組みで個人情報を扱っているのか、そして安全に利用するためにどのような点に注意すれば良いのかを分かりやすくご説明します。
マイナンバーカードに記録されている情報は?
まず、マイナンバーカードそのものに、皆さんの全ての個人情報が記録されているわけではありません。カードの表面と裏面、そしてICチップにそれぞれ情報が記録されていますが、その内容は限定されています。
- カードの表面: 顔写真、氏名、住所、生年月日、性別が記載されています。これらは運転免許証などと同様の、本人確認のための情報です。
- カードの裏面: マイナンバー(個人番号)と氏名、生年月日が記載されています。マイナンバーはむやみに他人に教えてはいけない重要な番号です。
- ICチップ: このICチップの中に、行政手続きやオンラインサービスで利用するための情報が記録されています。記録されているのは、主に「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」といった、本人が手続きを行っていることを証明するための情報です。所得情報や病歴、預金残高といったプライベートな情報は、ICチップには記録されていません。
個人情報が漏れる可能性について考える
マイナンバーカードを利用する上で、個人情報が漏れる可能性があるとすれば、主に以下のようなケースが考えられます。
1. カードの紛失・盗難
カード自体をなくしたり盗まれたりした場合、表面に記載された氏名や住所などが知られる可能性があります。しかし、ICチップ内の電子証明書を利用するには暗証番号が必要です。暗証番号を複数回間違えると、電子証明書がロックされ、不正な利用を防ぐ仕組みになっています。
2. 暗証番号の漏洩や不正利用
公的個人認証サービスなどでマイナンバーカードを利用する際に設定した暗証番号が他人に知られてしまうと、成りすましなどのリスクが生じる可能性があります。特に、フィッシング詐欺などで巧妙に暗証番号を聞き出そうとする手口には注意が必要です。
3. 利用するオンラインサービスの安全性
マイナンバーカードを使ってログインするマイナポータルなどのオンラインサービス自体から情報が漏れる、といった心配をされる方もいらっしゃるかもしれません。国の提供するサービスは厳重なセキュリティ対策が取られていますが、万が一、偽のサイトに誘導されて情報を入力してしまうといった危険性はゼロではありません。
4. 報道等で見る懸念点
最近の報道で、健康保険証との一体化や公金受取口座の登録などで情報の紐付けミスや誤登録があったという話を聞き、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。これらの問題は、マイナンバーカードの仕組みそのものの欠陥というよりは、登録・運用上のヒューマンエラーやシステム連携の問題として報告されています。国は対策を進めていますが、こうした報道により、カードへの不信感を持つ方もいらっしゃいます。
安全にマイナンバーカードを使うための注意点
では、マイナンバーカードを安心して利用するために、具体的にどのような点に気をつければ良いのでしょうか。
1. 暗証番号は厳重に管理する
パスワードと同様に、暗証番号は他人に知られないように厳重に管理してください。推測されやすい簡単な番号(誕生日や自宅の電話番号など)は避けるようにしましょう。
2. カードを大切に保管する
マイナンバーカードは顔写真付きの公的な身分証明書でもあります。普段から大切に保管し、むやみに他人に預けたり見せたりしないようにしましょう。
3. 不審な連絡に注意する
役所や公的機関を名乗り、「マイナンバーカードの手続きで暗証番号が必要」「カードが不正利用されているので情報を教えてほしい」といった不審な電話やメール、SMSには決して応答しないでください。自治体や国の機関が電話などで暗証番号やカード情報を直接聞くことはありません。
4. オンラインサービスの公式サイトを確認する
マイナポータルやその他のオンラインサービスをマイナンバーカードを使って利用する際は、アクセスしているサイトが本物であるか、URLをよく確認するなど注意が必要です。ブックマークからのアクセスや、信頼できる情報源からのリンクを利用するようにしましょう。
5. カードを紛失・盗難した場合の対応を知っておく
万が一、マイナンバーカードをなくしたり盗まれたりした場合は、すぐに以下の連絡先に電話をして、カードの一時利用停止手続きを行ってください。
- マイナンバー総合フリーダイヤル: 0120-95-0178 (年中無休、24時間受付)
その後、警察に届け出て、市町村の窓口にも連絡をしてください。
まとめ
マイナンバーカードのICチップには、プライベートな個人情報は記録されていません。カードの紛失や暗証番号の漏洩といったリスクはありますが、それはクレジットカードやキャッシュカードなど、他の重要なカードと同様です。基本的な注意点(暗証番号の管理、不審な連絡への対応、カードの保管)を守ることで、安全にマイナンバーカードを利用することができます。過度に心配しすぎず、正しい知識を持って適切にカードを活用していくことが大切です。