オンライン広告はなぜあなたのことがわかる?個人情報との関係を解説
インターネットを見ていると表示される広告について
インターネット上のウェブサイトを見ている時や、スマートフォンのアプリを使っている時に、ご自身の興味があるものや、以前に調べたことのある商品の広告が表示されて、驚いた経験はありませんか。
なぜ、インターネットはあなたの興味を知っているのでしょうか。これは、あなたのオンラインでの行動に関する情報が利用されているためです。ここでは、オンライン広告が表示される基本的な仕組みと、個人情報がどのように関わっているのか、そしてご自身でできる対策についてご説明します。
あなたに関係する広告が表示される仕組み
ウェブサイトを閲覧したり、何かを検索したりすると、その履歴や行動に関する情報が記録されることがあります。この情報は、主に「Cookie(クッキー)」と呼ばれる小さなデータファイルなどを通じて、ご自身のパソコンやスマートフォンの中に保存されたり、ウェブサイトの運営者や広告を配信する会社に送られたりします。
例えば、あなたが旅行先の情報を調べたり、特定の趣味に関するウェブサイトを頻繁に見たりすると、その情報がCookieなどに記録されます。広告を配信する会社は、これらの情報を分析して「この人は旅行に興味があるようだ」「この趣味に関する商品を探しているようだ」と推測し、関連性の高い広告を表示します。
これは、ご自身の氏名や住所といった直接的な個人情報を使って「〇〇さんにはこの広告を見せよう」としているわけではありません。むしろ、あなたがどのようなことに興味を持っているか、どのようなウェブサイトを見ているか、といった「行動パターン」に基づいて、「このような行動をする人には、たぶんこの広告が響くだろう」と考えて広告を配信していることが多いのです。
このように、オンラインでの行動履歴や興味・関心などの情報に基づいて表示される広告を「追跡型広告」や「行動ターゲティング広告」と呼ぶことがあります。
オンライン広告で使われる「個人情報」とは
「個人情報」と聞くと、氏名、住所、電話番号などを思い浮かべる方が多いでしょう。もちろん、オンライン通販などでこれらの情報を入力すれば、それは個人情報として扱われます。
しかし、オンライン広告の配信に使われるのは、それに加えて、以下のような情報も含まれます。
- 識別子: あなたのパソコンやスマートフォン、あるいはブラウザを区別するための番号(Cookie ID、広告IDなど)
- IPアドレス: インターネットに接続する際に割り当てられる番号。おおよその場所が分かります。
- 端末情報: 使っている機器の種類やOSのバージョンなど。
- 閲覧履歴・検索履歴: どのようなウェブサイトを見たか、何を検索したか。
- 位置情報: スマートフォンのGPS機能などから得られる、おおよその現在の場所。
- オンラインでの行動: ウェブサイト上のボタンをクリックしたか、どのくらいの時間滞在したか、商品をカートに入れたかなど。
これらの情報は、それ単体では特定の個人(例えば「佐藤花子さん」という名前の方)を特定できない場合もあります。しかし、複数の情報を組み合わせたり、他の情報と結びつけたりすることで、結果的に個人を特定できる可能性が生じます。そのため、これらの情報も個人情報保護法などでは重要な情報として位置づけられています。
広告を配信する会社は、これらの情報を収集・分析し、あなたがどのような「層」に属するか(例えば「都内在住、50代女性、旅行好き」といったように)を推測して、効率的に広告を表示しようとしています。
なぜ企業は個人情報を使って広告を配信するのか
企業が個人情報を活用してオンライン広告を配信する目的は、主に以下の点にあります。
- 広告の関連性を高める: 全く興味のない広告を見せるよりも、関心が高いと思われる広告を見せる方が、商品やサービスに興味を持ってもらいやすく、購入につながる可能性が高まります。
- 広告の効率を高める: 限られた広告費を、より効果が見込める層に絞って使うことができます。
これは企業側のメリットですが、広告を見る側にとっても、全く無関係な広告ばかりが表示されるよりは、自分の興味に近い広告が表示される方が便利な側面があると感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ご自身の情報が意図しない形で利用されているのではないか、という不安を感じる方も少なくないようです。
あなたのプライバシーを守るための対策
ご自身のオンラインでの行動が広告に利用されることに対して、不安を感じたり、管理したいと感じたりする場合、ご自身でいくつかの対策をとることができます。
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Cookieの設定を確認する:
- 多くのウェブサイトでは、アクセスした際にCookieの利用について同意を求められます。ここでどのような情報が収集されるのか、何に使われるのかを確認し、設定を変更することができます。「同意しない」や「詳細設定」を選んで、必要ないCookieの利用を拒否することも可能です。
- また、お使いのブラウザの設定で、Cookieをブロックしたり、閲覧終了時に自動的に削除したりする設定を行うこともできます。ただし、Cookieを完全にブロックすると、ウェブサイトの機能の一部が利用できなくなる場合がありますので注意が必要です。
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追跡型広告の配信設定を変更する:
- 多くの広告配信事業者は、ユーザーが追跡型広告の配信を停止できる仕組み(オプトアウト)を提供しています。主な広告配信事業者のウェブサイトには、オプトアウトのためのページが用意されていますので、そこで設定を変更することができます。
- スマートフォンの設定でも、広告に関する追跡を制限する機能がある場合があります。スマートフォンの設定画面を確認してみてください。
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ウェブサイトのプライバシーポリシーを読む:
- 利用するウェブサイトやサービスのプライバシーポリシーには、どのような情報が収集され、どのように利用されるかが記載されています。特に重要なサービスを利用する際は、一度確認してみることをお勧めします。専門的な言葉が多く難しい場合もありますが、「収集する情報の種類」「情報の利用目的」「第三者への提供の有無」といった項目に注目して読んでみると良いでしょう。
これらの対策を行うことで、表示される広告の関連性が変わったり、追跡される情報が減ったりする可能性があります。ただし、これらの設定をしても、全てのオンライン広告が表示されなくなるわけではありません。
まとめ
インターネット広告があなたの興味に合わせた形で表示されるのは、あなたのオンラインでの行動に関する情報が利用されているためです。ご自身の氏名などが直接使われているわけではない場合が多いですが、Cookieなどを通じて収集された閲覧履歴や検索履歴といった「行動データ」が分析されています。
これは便利な側面もある一方で、ご自身の情報がどのように扱われているのか気になる方もいらっしゃると思います。ご説明したようなCookieの設定変更や追跡型広告のオプトアウトなど、ご自身でできる対策を知っておくことが、安心してインターネットを利用するための一歩となります。
ご自身のプライバシーを守るために、オンライン広告が表示される仕組みを知り、必要に応じてご自身で設定を確認したり変更したりすることを検討してみてください。