ポイントカードやお店の会員登録、個人情報はどこまで伝えるべき?安全対策を解説
ポイントカードやお店の会員登録、個人情報はどこまで伝えるべき?安全対策を解説
お店で買い物をする際、ポイントカードを作ったり、オンラインショップで会員登録をしたりすることは、今や日常的なことになっています。お得な割引や特典を受けられる便利なサービスですが、その際に氏名や住所、電話番号といった個人情報を提供することに、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
なぜお店は私たちの個人情報を求めるのでしょうか。そして、私たちはどこまで情報を提供すべきなのでしょうか。この記事では、ポイントカードや会員登録と個人情報にまつわる疑問について、分かりやすく解説し、安全にサービスを利用するための注意点をお伝えします。
なぜポイントカードや会員登録には個人情報が必要なのでしょうか
お店がポイントカードの作成や会員登録で個人情報を求める主な理由は、以下の通りです。
- サービスの提供と運営: ポイントを付与したり、会員限定の割引を提供したりするためには、誰がどのくらい利用したかを管理する必要があります。また、紛失時の再発行や問い合わせへの対応のためにも、個人情報が必要になります。
- 顧客サービスの向上: 購入履歴などを基に、一人ひとりの興味や関心に合った商品やサービスの情報を提供するためです。例えば、誕生日月に特別なクーポンを送ったり、よく購入する商品の関連情報をお知らせしたりすることが可能になります。
- マーケティング活動: どのような商品がどのような顧客層に人気があるかといった傾向を分析し、品揃えやサービスの改善に役立てます。また、新商品やキャンペーンの情報をお知らせするダイレクトメールやメールマガジンを送る目的もあります。
- 不正利用の防止: カードの盗難や第三者によるなりすまし利用を防ぐためにも、登録された個人情報が使われることがあります。
このように、お店はサービスを便利に利用してもらうため、また、より良いサービスを提供するために個人情報を求めているのです。
どのような個人情報の提供を求められることがありますか
ポイントカードや会員登録で一般的に提供を求められる情報には、以下のようなものがあります。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- 生年月日
- 性別
- メールアドレス
- パスワード(オンラインの場合)
- 職業や家族構成(任意の場合が多い)
これに加え、サービスを利用することで、いつ、何を、いくらで購入したかといった購入履歴や、どのようなキャンペーンに関心を示したかといった利用履歴も、そのお店のデータベースに記録されていきます。これらも「個人情報」の一部として扱われます。
個人情報を提供することのメリットとデメリット
個人情報を提供することには、メリットとデメリットの両方があります。
メリット:
- ポイントが付与され、割引や景品交換などに利用できる
- 会員限定のセールや特典を受けられる
- 誕生日クーポンなど、特別なサービスが受けられる
- 新商品やキャンペーンなど、お得な情報を受け取れる
- オンラインストアであれば、住所や支払い情報などの入力を省略できる
デメリット:
- 提供した個人情報がお店から漏洩するリスクがある
- 関連する情報が、ダイレクトメールやメールマガジンとして頻繁に届くようになる可能性がある
- 購入履歴などに基づいた、意図しないターゲット広告が増える可能性がある
- 多くのサービスで個人情報を登録すると、管理が煩雑になる
私たちの個人情報はどのように守られているのでしょうか
企業は、私たちが提供した個人情報に対して、安全に管理する責任を負っています。日本には「個人情報保護法」という法律があり、企業が個人情報を取り扱う際のルールが定められています。
- 個人情報を取得する際は、利用目的を本人に伝えるか、公表することが定められています。
- 取得した個人情報を利用目的の範囲を超えて利用することは原則としてできません。
- 個人情報が漏れたり、不正にアクセスされたりしないよう、安全に管理するための対策をとる義務があります。
- 私たちが自分の個人情報について、利用目的の通知を求めたり、開示や訂正、利用停止などを求めたりする権利が認められています。
多くの企業は、この法律に基づき、個人情報の取り扱いについて定めた「プライバシーポリシー(または個人情報保護方針)」を策定し、ウェブサイトなどで公開しています。どのような情報を取得し、どのように利用し、どのように管理しているかなどが記載されています。
賢くサービスを利用するための具体的な安全対策
ポイントカードや会員登録のメリットを享受しつつ、個人情報の不安を減らすために、私たちができる具体的な対策をいくつかご紹介します。
1. 本当に必要な情報か考える、必須項目以外は任意の場合も
登録フォームを見ると、氏名や住所など、必須項目とそうでない任意項目があります。必須項目はサービスの根幹に関わるため、提供しないとサービスを受けられませんが、任意項目は提供しなくてもサービス自体は利用できる場合が多いです。
「なぜこの情報が必要なのだろう?」と考え、必須ではない情報は、本当に提供したいか検討してみましょう。例えば、お得な情報を受け取ることに抵抗がなければメールアドレスを提供し、ダイレクトメールは不要であれば住所は必須でない限り提供しない、といった選択が可能です。
2. プライバシーポリシーを軽く確認する習慣をつける
企業のプライバシーポリシーは、専門的で長文なことも多く、全てを理解するのは難しいかもしれません。しかし、以下の点を中心にざっと目を通すだけでも、その企業が個人情報をどのように考えているかのヒントになります。
- 「個人情報の利用目的」の項目: 自分の情報が何に使われるのかが分かります。
- 「個人情報を第三者に提供するか」の項目: 他の会社に情報が渡されるかどうかが分かります。ただし、「法令に基づく場合」などは提供されることがあります。
- 「安全管理措置」の項目: どのように情報が守られているか、簡単な説明があるかもしれません。
難しければ、特に利用頻度が高いお店や、大量の個人情報を提供する場合だけでも確認してみましょう。
3. メールアドレスを使い分ける
オンラインでの会員登録やサービス利用に使うメールアドレスは、普段使いの重要なメールアドレスとは別に、登録専用のメールアドレスを作ることを検討しましょう。これにより、万が一そのサービスから情報が漏れても、主要な連絡手段への影響を最小限に抑えられます。また、宣伝メールなどが一つのアドレスに集まるため、管理がしやすくなります。
4. 不要になったサービスの退会と情報削除
もう利用しないポイントカードやオンラインサービスは、そのままにしておかず、退会手続きを行うことを検討しましょう。退会すれば、原則として企業はその個人情報を利用したり保持したりする理由がなくなります。
退会時に登録した個人情報がどう扱われるか(削除されるか、一定期間保持されるかなど)は、サービスの規約やプライバシーポリシーに記載されていることがあります。気になる場合は確認してみましょう。
5. 怪しい要求には応じない
お店やサービスを装って、登録情報に関する不審なメールや電話がかかってくることもあります(フィッシング詐欺の可能性)。このような場合、すぐに情報を教えたり、メッセージ内のリンクをクリックしたりせず、公式サイトなどで正規の連絡先を確認して問い合わせるなど、冷静に対応することが重要です。
まとめ
ポイントカードや会員登録は、私たちの生活を便利でお得にしてくれる一方で、個人情報の提供が伴います。なぜ情報が必要なのかを知り、自分が提供する情報の範囲や、それがどう扱われる可能性があるのかを理解することは、安心してサービスを利用するための第一歩です。
全てのお店やサービスで完璧な対策をするのは難しいかもしれませんが、今回ご紹介した「必要な情報か考える」「プライバシーポリシーを軽く確認する」「メールアドレスを使い分ける」「不要なサービスは整理する」といった点を意識するだけでも、個人情報をより安全に扱うことにつながります。ご自身のペースでできることから、情報との賢い付き合い方を始めてみてはいかがでしょうか。