QRコードを読み取る時、個人情報やプライバシーは大丈夫?安全に使うには
QRコードは、お店の支払い、ウェブサイトへのアクセス、イベントの参加登録など、さまざまな場面で目にするようになりました。スマートフォンで読み取るだけで必要な情報に素早くアクセスできるため、大変便利に活用されています。
しかし、この便利なQRコードを使う際に、「自分の個人情報が何か読み取られてしまうのではないか」「プライバシーに関わる情報が知られてしまうのではないか」と漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、QRコードを安全に利用するために知っておきたいことや、気をつけるべき点について分かりやすくご説明します。
QRコードから直接個人情報が読み取られることはありません
まず安心いただきたいのは、QRコードそのものに、お名前や住所、電話番号といった「個人情報」が直接的に記録されているわけではない、ということです。
QRコードに記録されているのは、基本的に文字列の情報です。その文字列は、ウェブサイトのアドレス(URL)だったり、特定のアプリを起動するための情報だったり、簡単なテキストメッセージだったりします。スマートフォンでQRコードを読み取ると、その記録されている文字列が解釈され、対応する動作が行われる仕組みになっています。
したがって、QRコードを読み取っただけで、スマートフォンの内部にある写真データや連絡先、他の個人情報が勝手に抜き取られるということはありません。
QRコード利用で気をつけたい「リスク」とは?
では、QRコードを使う上で、どのような点に注意が必要なのでしょうか。個人情報やプライバシーに関わる主なリスクは、QRコードそのものにあるのではなく、QRコードが「何に誘導するか」にあります。
主なリスクとしては、以下のようなものが考えられます。
- 偽装されたQRコードによる危険なサイトへの誘導: 悪意のある第三者が、正規の場所に貼り付けられているQRコード(例えばお店の支払い用QRコードや公共施設の案内QRコードなど)の上に、こっそり偽物のQRコードを貼り付けることがあります。この偽物のQRコードを読み取ってしまうと、本物そっくりの偽サイト(フィッシングサイト)に誘導されたり、ウイルスなどが仕込まれた危険なウェブサイトにアクセスさせられたりする可能性があります。誘導先のサイトで個人情報(ID、パスワード、クレジットカード情報など)の入力を求められた場合、情報が盗まれてしまうことになります。
- 不審なアプリのインストールを促される: 偽装QRコードによって、セキュリティソフトになりすました偽アプリや、スマートフォンに入っている情報を抜き取るような悪意のあるアプリ(マルウェア)のインストール画面に誘導される可能性もあります。
- 意図しない情報の共有や操作: QRコードの中には、連絡先交換を簡単にするものや、特定の Wi-Fi に自動接続するものなど、便利な機能を持つものもあります。しかし、これらの機能を悪用されると、知らぬ間に連絡先が送られてしまったり、セキュリティ対策が不十分な Wi-Fi に接続させられてしまったりする危険性もゼロではありません。
これらのリスクは、QRコードを読み取った後の「誘導先」や「表示される内容」によって発生するものです。
QRコードを安全に使うための具体的な対策
QRコードの利便性を享受しつつ、リスクを避けるためには、いくつかの簡単な注意点を心がけることが大切です。
- 読み取り時に表示される内容を必ず確認する: スマートフォンのカメラアプリやQRコードリーダーアプリでQRコードを読み取ると、通常、そのQRコードが示す「ウェブサイトのアドレス(URL)」などが画面に表示されます。すぐにそのアドレスをタップして開くのではなく、表示されたアドレスをよく確認してください。見慣れない文字列が混じっていたり、有名なサービスのアドレスと少しだけ違っていたりする場合は、開かない方が安全です。特に、個人情報の入力を求めるようなサイトに誘導されそうな場合は、慎重に判断してください。
- 信頼できる提供元のQRコードのみ利用する: 見慣れない場所や、誰が貼ったか分からないようなQRコードは安易に読み取らないようにしましょう。公式の店舗や施設のポスター、信頼できる企業のウェブサイトなど、提供元が明確で信頼できるQRコードを利用することを基本とします。
- QRコード読み取り専用のセキュリティアプリを利用する: スマートフォンの標準カメラ機能以外に、セキュリティ機能が付いたQRコード読み取りアプリが提供されている場合があります。このようなアプリは、読み取ったQRコードが危険なサイトに誘導するものでないかなどをチェックしてくれる機能を持っていることがありますので、活用を検討するのも良いでしょう。
- 個人情報の入力を求められたら警戒する: QRコードを読み取った先のウェブサイトで、すぐに氏名、住所、電話番号、クレジットカード情報、銀行口座情報、パスワードなどの個人情報の入力を求められた場合は、一旦立ち止まってください。そのサイトが本当に情報を入力して安全な場所なのか、URLが正しいかなどを改めて確認し、少しでも不審に感じたら、入力をやめる判断も重要です。
- OSやアプリは常に最新の状態に保つ: スマートフォンや利用しているQRコード読み取りアプリ、ブラウザアプリなどのOSやソフトウェアは、常に最新の状態にアップデートしておくことが推奨されます。ソフトウェアの更新には、セキュリティの穴を塞ぐ対策が含まれていることが多いためです。
まとめ
QRコードは私たちの生活を便利にしてくれるツールですが、その利用には注意が必要です。QRコード自体から直接個人情報が漏れる心配はほとんどありませんが、誘導された先で思わぬ被害に遭う可能性があることを理解しておくことが大切です。
今回ご紹介した「読み取り時に表示される情報の確認」「信頼できるQRコードかどうかの判断」「安易な個人情報入力への警戒」といった点を心がけることで、QRコードをより安全にご利用いただけるでしょう。
便利さを享受するためにも、少しの注意を払って、安心してデジタルツールを活用してください。