スマホの位置情報サービス、オンにしたままで大丈夫?個人情報保護の視点から解説
スマートフォンの位置情報サービスとは
私たちの日常生活に欠かせないスマートフォンには、「位置情報サービス」という機能があります。これは、スマートフォンが今どこにあるのか、または過去にどこにいたのか、といった場所に関する情報を取得する仕組みのことです。
位置情報の取得には、空から送られてくるGPS(ジーピーエス)という信号だけでなく、お近くのWi-Fi(ワイファイ)の電波や、携帯電話の基地局からの情報なども組み合わせて使われています。これにより、建物の中にいても比較的正確な場所を特定できるようになっています。
この位置情報サービスは、地図アプリで目的地までの行き方を調べたり、天気予報で今いる場所の情報を表示したり、近くのお店のお得な情報を受け取ったりと、スマートフォンの多くの便利な機能で利用されています。
なぜ位置情報が個人情報に関わるのか
位置情報は、それ単独でも「いつ、どこにいたか」という個人の行動履歴を示す情報となり得ます。この行動履歴は、個人のプライバシーに深く関わる情報と言えるでしょう。
さらに、スマートフォンには、あなたの名前や電話番号、メールアドレスなど、さまざまな個人情報が登録されています。取得された位置情報が、これらの個人情報と結びつけられることで、「いつ、誰が、どこにいたか」という詳しい情報が記録される可能性があります。
この情報が、意図しない形で第三者に知られたり、悪用されたりするのではないかと心配される方もいらっしゃるかもしれません。
位置情報はどんな時に使われているか
スマートフォンで位置情報サービスをオンにしていると、主に以下のような目的で利用されます。
- 地図やナビゲーションアプリ: 現在地を表示し、目的地までの最適なルートを案内するために使われます。
- 天気予報アプリ: 今いる場所のピンポイントの天気情報を提供するために使われます。
- 写真アプリ: 写真を撮影した場所に位置情報を記録するために使われることがあります。
- お店やクーポンの情報アプリ: 今いる場所の周辺にあるお店の情報や、利用できるクーポンなどを表示するために使われます。
- 安否確認サービスや紛失時追跡サービス: 緊急時やスマートフォンを紛失した際に、場所を特定するために使われます。
- スマートフォンのシステムサービス: 時刻合わせや、利用状況に基づいたサービスの改善などのために、スマートフォンの内部的な機能で利用されることがあります。
このように、位置情報は私たちの生活を便利にするために様々な場所で活用されています。
位置情報サービスは「オン」にしたままで大丈夫?
位置情報サービスをオンにしておくことには、上記のような便利な機能を使えるという大きなメリットがあります。では、プライバシーの観点からはどう考えれば良いのでしょうか。
結論から申し上げますと、「使い方と設定を理解していれば、オンにしたままでも多くの場合は大丈夫」と言えます。重要なのは、「どのようなアプリが」「どのようなタイミングで」「どの程度の精度で」位置情報を利用することを許可しているかをあなたが把握し、管理することです。
漠然とした不安の背景には、「いつの間にか自分の行動が全て筒抜けになっているのではないか」といった心配があるかもしれません。しかし、スマートフォンの設定で、どのアプリに位置情報の利用を許可するか、あるいは許可しないかを自分で選ぶことができます。また、常に位置情報を利用することを許可するのか、それともアプリを使っている間だけ許可するのか、といった細かい設定も可能です。
プライバシーを守るための設定と注意点
位置情報サービスを安全に利用し、プライバシーを守るためには、以下の点を確認し、設定を見直してみることをお勧めします。
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スマートフォンの設定画面を確認する:
- お使いのスマートフォンの「設定」を開いてみてください。「プライバシー」や「位置情報」といった項目があるはずです。
- この項目を開くと、位置情報サービス全体のオン/オフや、どのアプリが位置情報を利用したか(または利用を許可されているか)のリストを確認できます。
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アプリごとの位置情報アクセス許可を見直す:
- インストールしたアプリの一覧が表示され、それぞれが位置情報を利用することを許可されているかどうかが分かります。
- アプリごとに、「常に許可」「使用中のみ許可」「次回確認」「許可しない」といった選択肢があります。
- 例えば、地図アプリは「使用中のみ許可」で十分でしょう。天気予報アプリも同様です。ゲームアプリなど、位置情報が必須ではないと思われるアプリに対して「常に許可」を与えている場合は、「使用中のみ許可」や「許可しない」に変更することを検討してみてください。
- 「常に許可」を選択すると、そのアプリを開いていない間も位置情報が利用される可能性があります。本当に必要なアプリだけに限定しましょう。
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システムサービスの位置情報設定を確認する:
- スマートフォンの設定には、OS(オペレーティングシステム)自体の機能が位置情報を利用するための項目もあります。「コンパスの調整」や「緊急SOS」「時刻設定」など、スマートフォンの正常な動作に必要なものが多いですが、中には利用状況の分析などに使われる項目も含まれています。
- これら全ての項目について理解するのは難しいかもしれませんが、もし気になる項目があれば、一度インターネットなどで検索して、どのような目的で使われている機能なのか調べてみるのも良いでしょう。ただし、むやみにオフにするとスマートフォンの機能に影響が出る可能性もありますので、注意が必要です。
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位置情報履歴について知る(必要に応じて):
- お使いのスマートフォンや利用しているサービス(例: Googleアカウントなど)によっては、過去に訪れた場所の履歴が記録されている場合があります。
- これらの履歴は、例えば「以前訪れたお店をもう一度探す」といった便利な使い方もできますが、プライバシーの観点から気になる場合は、履歴の確認方法や削除方法を調べて、適切に管理することも可能です。ただし、履歴の管理方法はサービスによって異なりますので、利用しているサービスのヘルプなどを参照してください。
まとめ
スマートフォンの位置情報サービスは、私たちの生活を豊かにする便利な機能です。一方で、個人の行動履歴に関わる情報であるため、その取り扱いには注意が必要です。
位置情報サービスをオフにしてしまうと、多くの便利な機能が使えなくなってしまいます。重要なのは、位置情報がどのように利用されているかを理解し、スマートフォンの設定画面から、どのアプリに位置情報の利用を許可するかを適切に管理することです。
不要なアプリからのアクセスを制限するなど、少し設定を見直すだけで、位置情報サービスの利便性を享受しながら、あなたのプライバシーを守ることができます。まずは、お使いのスマートフォンの設定画面を開いて、位置情報に関する項目を確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか。