「個人情報」って何を指すの?知っておきたい定義と日常生活での注意点
はじめに
インターネットを利用したり、お店で会員登録をしたりする際に、「個人情報」という言葉をよく耳にされるかと思います。漠然と大切なものだと感じていても、「結局、どこからどこまでが個人情報なのだろう」「自分のどんな情報に注意すれば良いのだろう」と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
この疑問に答えることは、ご自身のプライバシーを守り、安心してデジタル社会と付き合っていく上で非常に大切です。ここでは、「個人情報」が具体的に何を指すのか、そして日常生活でどのように扱えば良いのかについて、分かりやすくご説明します。
そもそも「個人情報」とは何か?
法律では、個人情報は「生存する個人に関する情報であって、氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と定義されています。少し難しい表現ですが、簡単に言うと、「特定の誰かだと分かる情報」のことです。
この「特定の個人を識別できる情報」には、大きく分けて二つのパターンがあります。
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その情報単体で、特定の個人が分かるもの:
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- 顔写真
- 指紋や声紋などの身体的特徴に関する情報
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他の情報と組み合わせることで、特定の個人が分かるもの:
- 単体では誰のことか分からない情報(例: 電話番号、メールアドレス、会員番号、運転免許証番号など)でも、氏名などの別の情報と紐づけることで特定の個人を識別できるようになる場合、それらの情報全体が個人情報となります。
- また、氏名がなくても、例えば「〇〇県△△市に住む、年齢が50代後半で、最近□□デパートで頻繁に買い物をしている女性」といった情報がいくつか集まると、特定の個人を推測できる場合があります。このような情報も、特定の個人を識別できる可能性がある情報として、個人情報として扱われることがあります。
日常生活における「個人情報」の具体例
私たちの周りには、意識しないうちに多くの個人情報が存在します。具体的にどのようなものが個人情報に当たるのか見てみましょう。
- 基本的な情報: 氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、性別、顔写真、家族構成、勤務先・通学先
- オンラインでの情報:
- ウェブサイトの会員登録時に提供した情報(ID、パスワード、メールアドレス、住所、支払い情報など)
- インターネットの閲覧履歴、検索履歴
- オンラインショッピングでの購買履歴
- SNSへの投稿内容やプロフィール情報、つながりの情報
- 位置情報サービスで取得された居場所に関する情報
- アプリの利用履歴
- ウェブサイトのCookie情報(他の情報と組み合わせることで個人を識別できる場合)
- オフラインでの情報:
- 運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなどの公的な身分証明書に含まれる情報
- 銀行の口座情報
- クレジットカード情報
- お店のポイントカードの利用履歴
- 医療機関の診察券、カルテ情報
- 防犯カメラに映った映像(特定の個人が識別できる場合)
これらの情報は、一つひとつは些細に思えるかもしれませんが、組み合わさることで個人の生活や行動パターンが明らかになり、プライバシーに関わる重要な情報となります。
なぜ個人情報を守る必要があるのか
個人情報が適切に扱われないと、さまざまな問題が発生する可能性があります。
- なりすまし: 氏名や生年月日、住所などの情報が悪用され、自分になりすまして契約を結ばれたり、不正なサービスを利用されたりする可能性があります。
- 詐欺: 偽の請求書が送られてきたり、電話でだまされて金銭を要求されたりするフィッシング詐欺や特殊詐欺につながるリスクがあります。
- 迷惑行為: メールアドレスや電話番号が流出し、大量の迷惑メールや迷惑電話が届くようになることがあります。
- プライバシーの侵害: 意図しない形で個人の行動や趣味嗜好が特定され、それが公開されたり悪用されたりすることで、精神的な苦痛を受けることがあります。
- 不当な差別や判断: 医療情報や収入などの情報が漏洩・悪用されることで、不当な扱いを受ける可能性があります。
日常生活で個人情報を守るための注意点
個人情報を守るために、日頃から少し意識するだけでできることがあります。
- 不必要な情報提供は避ける: お店やウェブサイトで情報を求められた際に、本当にその情報が必要か考え、必須ではない項目は入力しないという選択も検討しましょう。
- オンラインでの情報公開に注意する: SNSなどに自宅の場所が特定できるような写真(家の外観、窓からの景色など)や、行動パターンが分かるような情報(常に立ち寄る場所など)を安易に投稿しないようにしましょう。公開範囲の設定も確認してください。
- パスワードの管理をしっかり行う: 複数のサービスで同じパスワードを使い回すのは危険です。長く複雑なパスワードを設定し、可能であれば二段階認証なども活用しましょう。
- 不審なメールやメッセージに警戒する: 見覚えのない送信元からのメールや、個人情報を聞き出そうとするメッセージには注意し、安易にリンクをクリックしたり返信したりしないようにしてください。
- 個人情報が記載された書類の扱い: 請求書や明細書など、個人情報が記載された紙の書類を捨てる際は、シュレッダーにかけるか、氏名や住所などの部分を塗りつぶすなど、読めないように工夫しましょう。
- 使わなくなった機器のデータ消去: 古いスマートフォンやパソコン、記憶メディアを処分する際は、内部に保存されている個人情報(写真、連絡先、各種アカウント情報など)を完全に消去することを忘れないでください。初期化だけではデータが復元できる場合があります。
まとめ
「個人情報」とは、特定の誰かだと識別できる情報全般を指します。氏名や住所といった分かりやすいものだけでなく、様々な情報が組み合わさることで個人情報となる場合があることをご理解いただけたかと思います。
ご自身の個人情報がどのように使われているのかを知り、適切な対策を講じることは、オンライン・オフラインを問わず、プライバシーを守り、安心して生活するために非常に重要です。今回ご紹介した注意点を参考に、ご自身の情報を大切に扱っていただければ幸いです。